ブックタイトル鹿児島県産婦人科医会会報Vol1

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概要

鹿児島県産婦人科医会会報Vol1

- 4 -教授就任のご挨拶鹿児島大学医学部産科婦人科学教室 教授 小 林 裕 明 2016年4月1日付けで鹿児島大学・産科婦人科の教授を拝命しました小林です。早いものですでに1年が過ぎようとしていますが、平素よりお世話になっている産婦人科医会の先生方にこの場を借りてご挨拶申し上げます。この度、第5代教授として永田行博前々教授、堂地勉前教授が築きあげてこられた教室を引き継がせて頂くことになったわけですが、光栄でありますとともにその責任を痛感しております。“換骨奪胎”という言葉は産婦人科医が使うには不適切な印象の言葉かもしれませんが、まさに両先生が築き上げてこられた立派な教室を維持・発展させていけたらと思っています。医会の皆様におかれましては、今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます。 私が婦人科がんを専門として約30年が経ちますが、基礎研究としては、抗癌剤耐性機構、血管新生因子、卵巣癌遺伝子治療などの研究をしながら10名ほどの院生を学位指導してきました。特に3次元の細胞構築(細胞集塊)をとった時のみに発現する新たな抗がん剤耐性機構の研究報告はPNAS誌に掲載され、カルポニンという細胞骨格蛋白質の遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを腹腔内投与し、がん細胞と腹膜中皮細胞の両面から卵巣がんの腹膜播種の制御を試みるという遺伝子治療の研究では2004年度の神澤医学賞を頂きました。臨床研究としては、子宮頸がんのセンチネルリンパ節の術中生検をもとにリンパ節郭清の省略を試みる試験(2002年~)、浸潤子宮頸がん患者に対する広汎子宮頸部摘出術という妊孕性温存手術の開発に関する試験(2005年~)、ダヴィンチシステムによる子宮がんロボット手術の臨床試験(2013年~)などを行ってきました。前2者の臨床試験に関しては、子宮頸がん患者の術後下肢リンパ浮腫の回避や根治術後の妊娠・出産を可能とする新規医療技術の開発・普及に貢献したとの評価で医療・介護・教育研究財団から2013年度ふくおか「医療活動功労賞」を頂きました。いずれの臨床試験も当教室で発展的に継続し、国内をリードするレベルを維持しています。さらに浸潤頸がん合併の妊婦に児救命の目的で行う“胎児を入れたままの広汎子宮頸部摘出術”を九州初の試み(臨床試験)として昨年8月からはじめました。児が体外生活可能な時期まで妊娠継続させることを目的とした非常にハイリスクな手術ですが、すでに複数の患者さんに元気な赤ちゃんをお届けできました。ロボット手術に関しては2012年に九州初の症例を執刀し、その後の頸がん症例でセンチネルリンパ節生検を国内で初めてロボット支援手術に導入しました。鹿児島大異動後はダヴィンチが無かったので新規導入した施設にインストラクターとして訪問するだけのやるせない2年間を過ごしましたが、ようやく当院にもダヴィンチ(最新機種のXi)が納品されましたので、今年1月から執刀を再開しています。図らずも初代ダヴィンチであるSからSiを経て最新のXiまで、全機種の執刀経験がある国内唯一の婦人科医になりましたので、その経験を講演などで披露しています。今年2月に日本婦人科ロボット手術研究会が発足しましたが、その発起人会で来年の学術集会を担当する初代会長に推挙されました。現在、米国の子宮がんの8割弱がダヴィンチで行われているように今後ロボット手術が本邦でも普及していくことは間違いなく、本研