ブックタイトル鹿児島県産婦人科医会会報Vol1
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鹿児島県産婦人科医会会報Vol1
- 48 -講演(2) 婦人科がんになりにくい生き方始めてみませんか?鹿児島大学産婦人科 教授 小 林 裕 明 乳がんではピンクリボンが有名だが、子宮頸がん予防運動のシンボルとして、ティール&ホワイトリボンが使われる(ティール:小鴨の首筋あたりの色)。 3大婦人科がんの年齢別発生率と最近の傾向について5つのテーマで説明する。1.発がんの遺伝因と環境要因 発がんのメカニズムの特徴として、1.遺伝子変異のないがんは存在しない。2.がんの発生には1つの遺伝子変異だけでなく、複数の遺伝子変異が必要。3.がん遺伝子、がん抑制遺伝子、DNA修復遺伝子の組み合わせである、という3つがあげられる。多くのがんは、複数の遺伝子が関与する多遺伝子病と考えられる。また食物・栄養などの要因とがん発生の関連も指摘されている。さらには喫煙と食生活に気をつければ6割のがん死亡は防げるといわれている。2.3つの婦人科がんとかかりにくくなるためのポイント 子宮がんでも頸がんと体がんは、全く異なるがんである。子宮頸がんは30歳台が発症のピークであるが、子宮体がんは50歳台で肥満体型が典型例である。リスクファクターとして頸がんはHPV感染が指摘されているのに対し、体がんは肥満、高血圧、糖尿病、未経産婦(未婚・既婚によらない)、エストロゲン製剤の長期使用などがあげられる。また頸がんは初発症状がほとんどないのに対し、体がんは不正性器出血がみられる。 卵巣がんは表層上皮の破綻と再生の繰り返しが、遺伝子変異や封入嚢胞の形成を伴い卵巣がんになるとされている。また食生活の欧米化、糖尿病、喫煙、晩婚化・少子化、不妊治療(排卵誘発)などが、卵巣がん(表層上皮性・間質性腫瘍など)のリスクを上げる。リスク(表層上皮性・間質性腫瘍など)を下げる因子として、排卵が少ないことによる経産婦や低用量ピルがあげられる。 3つのがんにかかりにくくするためのポイントをあげてみた。3.もっとも予防できる子宮頸がん 子宮頸がんは若い女性に増えてきており、早期に発見できればレーザーや円錐切除で本来の妊孕性を保てるが、Ⅰ期以上になれば、標準的治療では妊娠できない。未婚、未産の患者にとって子宮を失うことは深刻な状況であるが、将来の妊娠を可能にする広汎子宮頸部摘出術の開発がなされている。最近では頸がん合併妊娠も増加傾向にあり、妊娠中に行う広汎子宮頸部摘出術が、世界で30例ほど報告がある。ただ約3割で胎児死亡があり、腫大した子宮のため手術が困難、かつ易出血性のため、母体だけでなく胎児も危険にさらす手術となるため、安易には勧められていない。 手術の開発も重要だが、なによりも子宮頸がんは最も予防できるがんである。ワクチンとがん検診の併用が最も効果的に子宮頸がんを予防できる。ぜひ10代でHPVワクチンを、そして20歳からは子宮がん検診を受けて欲しい。4.子宮体癌の早期発見 閉経後に不正性器出血がある場合や、閉経前でも子宮内膜肥厚がある場合は内膜細胞診を行う。さらに内膜細胞診で異常細胞が認められたら、積極的に組織診を行う。必要時は麻酔をかけて、子宮内膜の全面掻把まで行う。このような管理で、異型内膜増殖症までの病変なら、標準治療は単純子宮全摘出術+両側付属器術で十分であり、リンパ節郭清は不要である。また将来妊娠希望があれば、ホルモン療法にて子宮摘出を回避することも可能である。5.遺伝性乳がん卵巣がん症候群とアンジェリーナジョリー